リフォームとリノベーションの違いをすぐに答えられる人はあまり多くないのが実情です。 まずリフォームとは、一般的には長い年月たって古くなった建物を新築の状態にしなおすことを意味します。なお、この言葉は賃貸マンション・アパートなどを退去する場合に行う「現状回復」という意味としても使われます。したがって、老朽化していたり壊れている部分を修理したりすること、外壁・水周りの設備変更などもこれにあたります。 一方リノベーションとは、新築時よりも性能を向上させる目的であったり、より暮らしやすさなどを良くする場合に行なう大規模な工事のことを指します。住んでいる人の成長の変化などライフスタイルによって間取りや内装などを改善することができます。また災害や地震などに備えた設備を向上するための工事もこれにあたります。 リフォームのメリット・デメリットリフォームのメリットは、必要な箇所や小規模の工事を行なえるので、費用も安く済みますし、工事も短期間で完了することがあります。したがってまずはこの方法を検討することが一般的です。 しかしデメリットとして、住宅自体の機能が向上するわけではないので、介護や看病の必要な人、妊娠・出産などライフスタイルの変化に対応できるわけではありません。そして、工事の内容によっては費用が高くなってしまう場合があります。修復作業は狭い範囲を少しずつ行なう作業になるので、一度にまとめて行なう場合よりも工事費が高くなってしまう可能性もあります。 リノベーションのメリット・デメリットリノベーションのメリットは、居住する人のライフスタイルの変化に応じて自由に設計できることにあります。例えば、子どもが独立して子ども部屋が必要なくなったので壁をとって広い部屋にしたり、トイレやキッチンなどの水周りの部屋を広くしてバリアフリー仕様にするといったことも可能になります。 さらに、中古物件を買ってからこの工事を行なうことで、新築よりも安い費用で自分たちの暮らしやすい環境に作りかえることが可能になるといった点も挙げられます。したがって、購入した中古住宅の間取りや設備などが満足いくものでなかったとしても、あまり気にしないで済みます。 その分、駅や周辺の環境などを優先して住居を選ぶ事ができるので選択肢が広がります。リノベーションのデメリットとしては、建物の耐久性に注意しなければならないという点です。 中古物件の場合、築年数を事前に確認しておくことは欠かせません。理由としては、建築基準法の改正によって、建物の様々な基準が変化していたり建設時の手抜き工事などが見過ごされてしまうケースが少なくないからです。法律が改正されて基準が引き上げられた前よりも建てられた建物の場合、耐震性や耐火性などが現在の基準を満たしていないということもあるからです。その場合、基準を満たすための工事が必要となって、費用がさらにかかってしまうケースなどもあります。 特に1981年よりも前に建てられている建物の場合には現在の基準を満たしていない可能性があるため、そのような物件の場合には改修の履歴などを必ず確認しましょう。 次に、この工事は建て替えと同様に、工事か完了し再度入居ができるまでに時間がかかるという点です。その間は、違う場所で暮らす必要性がでてきます。自由度の高いことがメリットですが、こだわった工事にする場合には建築士や業者との綿密なやり取りは必ず必要なので、時間が十分に取れない方や早く工事を進めたい方にはあまり適していない方法になります。またこの方法は通常の住宅ローンよりも金利が高くなる傾向にあります。 リフォームとリノベーションを選択する際は、工期の面、費用の面を考慮に入れながら検討することが必要ですね。 |
リフォームコラム