鳥山石燕という人の描いた今昔画図続百鬼という本にある妖怪に以津真天というのがいます。
「広有 いつまでいつまでと鳴し怪鳥を射し事 太平記に委し」とあるように、『太平記』巻12の「広有射怪鳥事」に登場する怪鳥を描いたもので(中略)1334年(建武元年)の秋、疫病が流行して病死者が多く出た頃、毎晩のように紫宸殿の上に怪鳥が現れ「いつまでも、いつまでも」と鳴いて人々を恐れさせていた。公卿たちは源頼政の鵺退治にちなんで弓の名手に退治させようと考え、依頼を受けた隠岐次郎左衛門広有はかぶらや(かぶらや)で見事、怪鳥を射止めた。その怪鳥は顔が人間のようで、曲がったくちばしに鋸のような歯が並び、体はヘビのようで、両足の爪は剣のように鋭く、翼長は1丈6尺(約4.8メートル)もあったという。 とあります。 いつまで。とは疫病はいつまでもいつまでも続くぞ、と脅す声であるとも、病で死んだ人達の遺体をいつまで放置するのだとの恨み声であるともいいます。
折しも昨今の世界的な疫病の流行は以津真天の再登場に似つかわしく、ゴールデンウィークを過ぎるあたりから、いや既に『自粛をいつまで、いつまで』との声が聞こえ始めているようですが、変な鳥が鳴いてるなあ程度に聞き流して油断することなく流行りが落ち着くその日まで毎日を息を潜めて過ごすべきではなかろうかとそう思う訳でありますよ。 で、当方の看護師をしている妻の話なのですが、仮に病の流行が落ち着いたとしても油断することなかれ。かつてスペイン風邪は一旦落ち着いたに見えたがその年の冬に再度猛威を振るい更に死者が出た。そのパターンで冬に再び流行する恐れがあるからマスクや消毒液は市場に出てきたらちょくちょく備蓄しておくが吉。とのことです。 |
佐々木 亮介