サイトアイコン お風呂やキッチンのリフォームならハンディマン

「旧松代駅」~消えずに残った、100年の駅舎~

先日の夏休みの8月に、長野へ行った際、久しぶりに松代を訪れました。

松代といえば、真田信之が治めた松代藩の城下町。

歴史ある街並みが残るこの町には、もう一つ、私が以前から気になっている場所があります。

それが、旧松代駅です。

2025年の夏にも一度訪れ、当時の様子をブログに書きました。[私の以前のブログ]

そのときの記事では、

「今年2025年中に取り壊すという市の方針が出ています」

と紹介しています。

そのため、当時は、

「今のうちに、この姿を目に焼き付けておこう」

と思い、駅舎を訪れました。

ところが――。

あれから1年。

2026年8月12日、再び松代を訪れてみると…

旧松代駅は、まだそこにありました。

旧松代駅は、2012年に廃線となった長野電鉄屋代線の駅舎です。

建てられたのは1922年(大正11年)。

100年以上の時を経た、昔ながらの木造駅舎です。

改めて見ると、やはりいいですね。

木の柱や梁には長い年月を経た風合いがあり、白い漆喰壁と木部のコントラストも美しい。

今の建物ではなかなか出すことのできない、「本物の古さ」があります。

こちらは2025年8月に撮影したものです
こちらは2026年8月、今回撮影したものです。全く変わっていません。まるで時が止まっているかのようです・・・

駅舎の中に入ると、かつての窓口や案内表示なども残されています。

ここで駅員さんが切符を販売し、列車の発着を案内していたのでしょう。

当時の人々がこの場所を行き交っていた様子を想像すると、何ともいえない気持ちになります。

   

私が旧松代駅で特に好きなのが、このホームです。

長く伸びるホーム上屋。

その下に並ぶ木製の柱。

現在は線路こそありませんが、かつてここに線路が敷かれ、列車が走っていたことが分かる痕跡が残っています。

ホームに立って周囲を眺めていると、

「ここに列車が来ていたんだな」

ということが、想像できます。

そして、改めて思いました。

駅というのは、駅舎だけでは「駅」ではないのではないか。

やはり、駅舎があって、ホームがあって、線路があって、その場所に人々が集まる。

それらが一体となって、「駅」という一つの風景をつくっているのだと思います。

   

長野市は一度、旧松代駅舎を解体する方針を示していました。

2025年5月には、2025年度中の解体方針が示され、解体費用も予算計上されていました。

ところが、その後、駅舎の保存・活用を求める声や民間事業者からの提案などを受け、長野市は方針を再検討。

2026年には、現在地周辺への移築によって保存・活用する方向へと動きました。[長野市公式ホームページ]

さらに、つい先日の8月末には、保存・活用を担う事業者として、民間の店舗設計・施工会社が優先交渉権者に選定されています。

今後、どの部分を残すのか、どこへ移築するのかなどを調整していく段階だそうです。

解体されると思っていた建物が、こうして残る方向になったことは、とても嬉しいことです。

ただ――。

個人的には、できることなら「今の場所」に残してほしいと思っています。

なぜなら、先ほども書いたように、

駅は駅舎だけではなく、その場所全体で「駅」だからです。

現在はレールが撤去されていても、線路があった場所は分かります。

そこに駅舎が残っていれば、

「ここに線路があって、ここから列車が発着していた」

という、過去の風景を今の私たちが想像することができます。

建物だけを別の場所へ移してしまえば、駅舎そのものは保存できても、「ここに駅があった」という場所の記憶まで一緒に残すことは難しいように思います。

もちろん、築100年以上の木造建築です。

老朽化もありますし、耐震性の問題もあります。

維持管理には、相当な手間と費用がかかるでしょう。

建築に携わる仕事をしている身としても、古い建物を「ただ残せばいい」と簡単には言えないことは分かります。

それでも。

こういう建物は、一度壊してしまったら二度と同じものはつくれません。

100年の時を経た、風格というのでしょうか。

柱や梁についた傷や汚れ。

長年風雨にさらされてきた独特な木材の風合い。

古い建具。

そして、駅舎とホームと線路跡がつくる、この場所ならではの景色。

それらすべてが、松代駅が歩んできた時間そのものです。

2025年に訪れたときは、

「もうすぐ無くなってしまうかもしれない」

と思って写真を撮りました。

それから1年。

再び訪れた旧松代駅は、まだそこにあり、少し不思議な気持ちになりながら、ホームを歩きました。

そして今度は、

「どうか、この場所で残ってほしい」

と思いました。

100年以上前に建てられた駅舎が、これから先も松代の風景の中に残り、

「ここには昔、列車が走っていたんだよ」

と、次の世代に伝えていく。

そんな場所になってくれたら、とても素敵だと思います。

旧松代駅。

また松代を訪れるときには、ここに立ち寄りたいと思います。

そして、そのときもこの駅舎が、今と同じ場所に建っていることを願っています。

2011年の現役時代の松代駅。 出典:Nankou Oronain / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
2010年。松代駅停車中の屋代駅行きの長野電鉄3500系。 出典:黄金のひばりたち / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

モバイルバージョンを終了