浴室にテレビを設置し、ゆったりとお湯に浸かりながら好きな番組や音楽を楽しめるのは極上の贅沢だと言えますね。少し前まではかなりの贅沢品であった浴室テレビも最近では広く普及し、それに伴って製品の価格自体も気軽に手が出せる金額になってきました。
機能や機種、画面の大きさにもよりますが数万円程度で購入できるものが多く販売されており、新築やリフォームの際に設置を検討するケースも増えてきているようです。
しかし、浴室テレビが普及するにつれて問題になってきているのが、設置工事自分で行って生じるトラブルです。通常は住宅会社やリフォーム業者などのプロに依頼する設置工事ですが、取り付け費用を削減するため自分でセルフ工事を行う人が多くいます。確かに製品自体を電気量販店やインターネットで通常より安く購入し、自分で取り付ければ設置の費用を削減することができます。技術的にもそう難しくない場合が多く、新しい製品への取り換え程度であれば少し調べればセルフ工事も可能な場合があります。DIYや電気関連に詳しい人なら新設の工事でも可能かもしれません。
しかし、この工事を行うには大きなリスクが伴います。場合によっては住宅本体に影響したり、集合住宅の場合は隣家に影響を与え、大きな損害を出してしまう場合もあるのです。少しの費用を削減するために多くのリスクを背負ってしまうことになりますので、自分での施工は絶対にしないほうがいいでしょう。
ではその工事のリスクとはどのようなものなのでしょうか。
まず最初に言えることは、電化製品の取り付けによる電気工事は、本来資格を持った専門業者にしか許可されていないということが挙げられます。電気関連の工事には配線作業を伴いますので感電などの事故が起きる可能性があり、身体的なリスクが伴います。
また、電気関連作業では不完全な工事を行うことによって漏電を引き起こしてしまうことがあり、火事などの重大な災害につながるリスクも存在します。例えば、自分でセルフ工事を行い、その工事の不手際で漏電して火災を引き起こした場合、実は火災保険の対象にならない場合もあるのです。家の中のことなので黙っていればわからないし、大丈夫だと考える方もいるかもしれませんが、問題が起きた時に被る損害は想像以上のものでしょう。
また、浴室という場所だけに生じるリスクもあります。
それは工事における防水の問題です。浴室内では入浴に際して多くの水を使いますし、浴室は湯気によって湿気が充満する空間でもあります。ですので浴室内の浴槽やユニット部品などはその影響を受けないようにシリコンなどのコーキング剤を使って防水処理がなされています。しかし、浴室内での工事を一般の人が行った場合、この防水処理を完璧にすることができずに湿気や水に起因するトラブルを引き起こしてしまうことがあるのです。よくある事例としては、隙間から水がしみ込んでいき、しみ込んだ先の木材や金属部品が腐食を起こすといったものがあります。
マンションなどの集合住宅であれば隣家や階下の部屋の部屋にも影響し、損害賠償となるケースも見られます。また、一軒家の場合は少しずつ木部の浸水・腐食が進むことによりシロアリ発生の原因になることもあります。シロアリは湿気を好み、腐食した木はその恰好の餌となるので家の土台部分が食い荒らされて、家本体に影響が出ることになります。こうなると、家の修復費用は設置工事費の比ではなくなってしまいます。このように浴室内の電気工事を自分で行うリスクは、工事費が掛からないという小さなメリットに対して大き過ぎるものとなります。
せっかく快適なお風呂ライフを過ごすために工事を行うのであれば、信用できる専門の業者に依頼して、リスクのない快適性を手に入れてはいかがでしょうか。